MENU

意思の強いプリンを作りましょう(How to make Japanese custard pudding)

「私、歯ごたえのある固めのプリンが好きなんだよね」
 そういう彼女の視線の先には、半身をスプーンで削られ、今にも崩れ落ちそうなカスタードプリンがいた。
「それを今言う必要はないだろう。目の前のプリンがあまりにも不憫じゃないか」
 僕はカラメルのかかった山頂に、自身の存在価値を問う目を見た。
「そうやってまた。勝手な妄想で物に生命を吹き込む癖、やめて。あなたに褒められようが、私に罵られようが、このプリンはただのプリンでしかない」
 彼女はきつい目をして言いながら、結局やっこいプリンを平らげた。文句は言っていたが、割りと旨かったのだろう。それはつい先週、目黒の喫茶店での事だった。
 
 固いプリンが好きなのよ
 とろけるだけじゃ燃えないの
 端から端まで噛み締めたいの
 あなたもきっとそうでしょう
 
 そんな下らない詩をベッドの上で歌いながら、僕はスプーンに叩かれ、激しく身を揺らすプリンを想像した。嗚呼、洗面器一杯のプリン食いたし。
 自分にとっての理想のプリンとは何だろうか。僕はやっぱり卵の濃厚な味が広がり、適度な固さと舌ざわりの良さを持つカスタードプリンだろう。それとホイップクリーム、これは外せない。冷えたグラスに注がれたアイスコーヒーがあれば尚良し。
 改めて考えてみると、プリンという代物は、人によって理想像の大きく異なり、探求のし甲斐がある菓子なのではないだろうか。   
 とりあえず、コメント欄で皆さんの理想のプリンに関する忖度のない意見、お待ちしております。
 いつか東京布丁倶楽部(とうきょうぷりんくらぶ)なんていう、世の中に微塵も影響を及ぼさないラブアンドピースな団体、作ってみたいですね。参加者、いるかな。。。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次